「ここに家族がいる」ハワイのシマブクさん、沖縄の親戚と初対面 祖母の戦争体験「伝える」


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親戚の比屋根助廣さん(左)と初対面を果たしたハワイ県系3世のデイル・シマブク・サトさん(中央)、4世の娘のチェルシーさん(右)=7日、沖縄市古謝

 第7回世界のウチナーンチュ大会に合わせてハワイから沖縄を訪れ、親戚を探していた県系3世のデイル・シマブク・サトさん(61)は6日、沖縄市古謝で、親戚の比屋根助廣さん(80)と対面を果たした。

 「ついに会えて幸せ。ここに家族がいて、いつでも戻ってこられる」と喜び、娘のチェルシーさん(33)は「パズルのピースが埋まるよう。今はとてもウチナーンチュだと感じる」と実感を強めた。

 対面時、デイルさんが数十年前の集合写真を示すと、すぐに親戚だと分かった。比屋根さんも、デイルさんの祖母の島袋ミツさんの写真を見せ、デイルさんがうなずいた。「これは祖母です」

デイルさんの祖母の島袋ミツさん

 ミツさんは古謝出身で妹が比屋根さんの母親。比屋根さんは、他の妹たちはペルーやフィリピンに移住し、フィリピンでは戦争で一家全滅したこと、末の弟は沖縄戦で亡くなり、遺骨が見つからず、ミツさんが気にかけていたことを説明した。

 比屋根さんは毎年6月に身元不明の戦没者遺骨が納められた糸満市米須の「魂魄の塔」で手を合わせると語り、デイルさんはうなずいて「ハワイの家族に伝えたい」と話した。比屋根さんは「来てくれてありがとう」と手を合わせ声を詰まらせた。ミツさんの実家があった場所も訪れ、デイルさんは感慨を深めていた。

 関係性は、県立図書館のルーツ調査や本紙の呼び掛けで判明した。10月31日付の記事で2人を取り上げ、呼び掛けたところ、読者から情報が寄せられた。デイルさんは「多くの世界のウチナーンチュが親戚を探していた。全ての人が見つかった訳ではない中、私たちは幸運だった」と感謝を述べた。 (中村万里子)