ひろゆきさん出演の「アベプラ」番組を立ち上げたプロデューサーが今、思うこと 論理に主眼「対立あおるだけ」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
インタビューに答える元テレビ朝日の鎮目博道さん=10月25日、東京

 【東京】インターネット掲示板「2ちゃんねる」開設者のひろゆき(西村博之)さんの沖縄の基地問題についての言動が物議を醸した件で、インターネットテレビ番組「ABEMA prime(アベマプライム)」にもさまざまな意見が出ている。番組の立ち上げに関わった元テレビ朝日の鎮目(しずめ)博道さん(53)は「話題になればいいという安易さを感じる」とメディア側の姿勢にも疑問を呈した。

 鎮目さんはテレビ朝日で「報道ステーション」などの制作に携わり、2015年に「AbemaTV(アベマテレビ)」に移籍。初代プロデューサーとして16年4月から配信開始したアベマプライムの立ち上げに関わった。

 「当初から若い視聴者に見てもらうことを意識していた。出演者がニュースについて議論をする番組の骨格を作った」と振り返る。公平の原則などを定める放送法や放送倫理・番組向上機構(BPO)の制約を受けないこともあり、「公平性やバランスを気にすることなく自由な番組作りができた」という。

 鎮目さんは担当後の19年8月に独立。現在は江戸川大非常勤講師を務めるほか、ライター、テレビプロデューサーとして活動している。ひろゆきさんが定期的に番組出演するようになったのは、退職後の20年4月から。ひろゆきさんの辺野古新基地建設の抗議活動を巡る言動が注目を集めた10月7日放送回については、違和感を抱いたという。

 「取材なら、もう少し現場にいる人に話を聞くべきで、あれでは、自分の理屈や考えを押しつけているだけだ」

 ひろゆきさんは番組放送前の同3日、自身のツイッターで辺野古の新基地建設への反対運動の現場を訪れたことを報告し「座り込み抗議が誰も居なかったので、0日にした方がよくない?」と投稿。主に「座り込み」の定義について議論が集中した。

 「注目度の高いひろゆきさんの問題提起で話題になるのを狙ったのかもしれないが、相手を言い負かすゲームのように映った。若者向けニュースをうたうなら、前提となる情報をしっかり伝える必要がある。相手に勝つことのみに主眼を置くような討論を流すだけでは、意見が異なる者同士の対立をあおるだけだ」

 本紙はこうした意見があることなどについてアベマテレビに取材を求めたが、同社広報は「番組制作に関わることについては、回答を差し控えさせていただきます」と答えた。 (安里洋輔)