ハジチの模様を鉛筆書きで詳細に…「南島入墨考」の基となった小原一夫の卒業論文原本を発見 沖縄県立公文書館に寄贈


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小原一夫の「南島入墨考」の基になった卒業論文原本の一部=7日、南風原町の県公文書館

 沖縄の女性の入れ墨「針突(はじち)」について研究した、小原一夫(1907~64年)の著書「南島入墨考」の基となった卒業論文の原本が見つかった。沖縄、奄美で調査した女性たちの手に施された針突を鉛筆で詳細に書き写し、氏名や年齢などのメモを記している。小原のおいにあたる鯵坂(あじさか)学さん(74)=京都府、同志社大学名誉教授=と小原の次男、直(ただし)さん=東京都=が7日、南風原町の県公文書館に寄贈した。

 小原は早稲田大学の学生だった1930~32年に沖縄や奄美の島々を回り、針突を調査した。卒業論文にまとめ、62年に「南島入墨考」(筑摩書房)を出版した。約150人の女性の針突を記録し、地域や社会階層によって違いがあることなどを論じた。

卒業論文の原本を寄贈する鯵坂学さん(右)=7日、南風原町

 鯵坂さんは原本を保管していた直さんから沖縄への寄贈を託された。石原昌家沖縄国際大学名誉教授の助言を得て県公文書館への寄贈を決めた。鯵坂さんの父、二夫(つぎお)さん(教育学者)が1950年代に沖縄の教育環境を調査した際の資料も寄贈した。

 鯵坂さんは「沖縄の物は沖縄で研究してもらうのが最善だ。(小原の卒論を)研究者や県民の皆さんに活用してほしい」と話した。

 県公文書館の宜野座葵(まもる)館長は「貴重な資料として丁寧に整理し、県民に広く公開できるようにしたい」と感謝した。

(宮城隆尋)