コロナ下でのイベント「形」示す 10月実施の産業まつり 短時間飲酒呼び掛けも「徹底」には至らず


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短時間飲酒を呼び掛けるプラカードを持ち会場内を巡回する県職員=10月22日、那覇市の奥武山公園

 10月21日から3日間にわたり開催された沖縄の産業まつり(同実行委主催)は、3年ぶりに那覇市の奥武山公園・県立武道館での開催となり、3日間で計23万9100人(主催者発表)が来場した。新型コロナウイルス感染症拡大防止に関する県の規制が緩和され、会場ではアルコールが提供されるなど、久しぶりにコロナ前のイベントの雰囲気が戻ってきた。コロナ禍からの経済回復の役割も担った産業まつりは、コロナ下での大規模イベント開催について一つの見本を示した形だ。

■巡回
 

 約24万人を動員するイベントはコロナ下で初。実行委員会は感染防止のため、会場のレイアウトを変え、飲食スペースを広めに設置したほか、来場者に食べ歩きの禁止、60分以内の短時間飲酒などを呼び掛けた。

 5カ所設けられた入り口で来場者は係員の案内に従い、検温、消毒をして入場。真夏のような暑さもあり、日陰に人が集まってしまうなどの課題はあったが、食べ歩く人の姿は少なかった。

 今回はアルコール提供が可能になったこともあり、県や県工業連合会青年部のメンバーは短時間飲酒などを呼び掛けるプラカードを持ち、会場内を巡回した。実行委の古波津昇会長は「大声を出している人や酔っ払って寝ている人もいないし、来場者がそれぞれ気を付けていた。一定の効果はあった」と評価する。

 瑞穂酒造の仲里彬商品開発室長も「お客さんはその場に居座って長く飲むこともなく、各自で感染には気を付けているようだった」と振り返る。多くの人が各酒造所のブースを回り、泡盛を買い求めた様子から「少しずつ日常が戻ってきた」と喜んだ。

 ただ、短時間飲酒が守られていたかと言うと必ずしもそうではない。オリオンビアガーデンは初日からにぎわったが、来場者に短時間飲酒について尋ねると、ほとんどの人が「知らなかった」と答えた。古波津会長も「呼び掛けなので強制はできない」と徹底の難しさを挙げた。

■影響
 

 県内では今後、「リゾテックエキスポ」(17、18日)、「沖縄大交易会」(24~26日)、「おきなわ花と食のフェスティバル」(23年1月21、22日)など大規模イベントが控える。

 4年ぶりに奥武山公園で開催される花と食のフェスティバルは、コロナ前は10万人超が来場しており、こちらも感染対策とイベントの両立が課題だ。事務局は「1月下旬は毎年コロナの感染者が増える時期でもあり少し不安はある」とする。産業まつりの対策は参考にしており、巡回は取り入れる予定だ。

 一方、産業まつりは受付で名前の記入は求めなかったが、来場者の追跡ができるように名前の記入を求めるなど、「産業まつりよりも厳しめの対策を検討している」と話した。

(玉城江梨子)