沖縄県と県医師会は9日、新型コロナウイルスの後遺症(罹患(りかん)後症状)に関する情報を共有し、県内の患者対応に生かす研修会を南風原町の県医師会館で開いた。ウェブ参加も併せて約160人が参加した。
県立中部病院の横山周平医師は、発症から100日以上たっても息切れや頭痛が続く症例を紹介した。患者の中には周囲に相談できず苦しむ事例もあるため、医師が話を聞くことが重要と指摘した。初診時には症状が即座に改善しない可能性に触れて「(時間の経過とともに)症状が改善する状況を共有し、患者に自信を持ってもらうことも医師の役割だ」と述べた。
首里城下町クリニック第一院長の田名毅医師は内科医として味覚障害や体重減少のある患者への対応を説明したほか、耳鼻咽喉科かおる医院の新垣香太院長も治療例を紹介した。
後遺症の診療について県と県医師会は、地域の診療所が入り口となり、高度な検査や別疾患との鑑別を総合病院が行う連携体制の構築を目指している。県医師会は県内の総合病院などに診療所との連携に関する意向を確認しており、9日現在で20カ所が賛同しているという。
同日は、国立国際医療研究センター病院国際感染症対策室の森岡慎一郎医長による、後遺症の疫学情報の報告も行われた。
(嘉陽拓也)