絶滅が危惧される国指定天然記念物「ケナガネズミ」の交通事故死(ロードキル)が2022年に入って今月11日までに23件となり、記録が残っている1998年以来最多だった11年の25件に迫っている。ケナガネズミは秋冬に繁殖・子育てのために活動が活発となるため、環境省やんばる自然保護官事務所は「事故がさらに増える可能性が極めて大きい。危機的な状況だ」と指摘する。ケナガネズミが路上に出る夜間は速度を抑えるよう運転手に訴えている。
ケナガネズミのロードキルは21年秋の繁殖・子育て期から増えており、自然保護官事務所は22年5月、運転手に注意を呼びかけた。
しかし、その後も事故は絶えず、これまでに幼獣を含む23匹が犠牲となった。発生場所は生息域の森林を南北に分断する県道2号が最も多く14件となっている。
この状況を踏まえ、国や県、国頭、大宜味、東のやんばる3村などの行政、道路関係機関でつくる「やんばる地域ロードキル発生防止に関する連絡会議」は、県道2号の制限速度が30キロであることなどを、あらためて訴えるチラシを作成した。事故が多発する県道2号周辺や、北部各地で掲示・配布を始めている。
ケナガネズミなど希少な固有種の事故通報・救護は、環境省やんばる自然保護官事務所(やんばる野生生物保護センター)090(6862)9170か、NPO法人どうぶつたちの病院沖縄090(6857)8917まで(24時間受け付け)。
(安里周悟)