「里帰りは栄養補給」那覇からアフリカのザンビアへ移住した88歳の女性、次期市長に願ったこと 沖縄


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 【那覇】「里帰りは栄養補給」と話すのは、アフリカのザンビア共和国代表として世界のウチナーンチュ大会に参加した髙良初子さん(88)=那覇市小禄出身=だ。第1回大会から今大会まで全ての大会に参加している。ザンビアただ一人のウチナー民間大使として沖縄との架け橋に尽力している。

 7日には、知念覚次期那覇市長が髙良さんの自宅を訪れて対談した。那覇市とザンビアとのつながりを念願する髙良さんの要望で実現した。知念さんは「ザンビアの方々が髙良さんと築き上げた信頼関係は大きな財産だと思う。この財産をいかに受け継ぎ、交流していくかが課題ではないでしょうか。考えていきたい」と話した。髙良さんは「うれしいお言葉。そのお言葉こそが栄養になる」と満面の笑みを浮かべた。

 髙良さんは、県系1世。那覇高卒業後に琉球大学に進学。家庭の事情で中退し、県内で職に就いた。退職後、30代で東京の青山学院大学へ入学。卒業後は英国の大学院を経て、知人の誘いを受け、1977年に初めてザンビアを訪れた。滞在中に盲学校を訪れると、あまりにも貧しい状況を目の当たりし「私に何かできることはないだろうか」との思いを持ち帰沖。

 県内の複数の団体の協力を得て沖縄からザンビアに物資を送る活動を始めた。2度目に訪れたザンビアで髙良さんは交通事故に遭い生死をさまよったといい、人生が大きく変わったと話す。その後、ザンビアへ移住。盲学校への支援や教育関連団体への寄付活動に取り組み、ザンビア・日本友好協会も立ち上げた。2007年にはザンビア大大学院で修士号を取得。旭日双光章などを受章した。

 今大会には息子の一平さんと来沖。前夜祭パレードでは一平さんが旗手を務めた。今後の目標について髙良さんは「シングルマザーや女性の職業訓練校のようなウーマンズアカデミーをザンビアにつくりたい。希望を持っていることが生きる糧となり実現するまでは負けちゃいられない」と力を込め、沖縄を後にした。

(中川廣江通信員)