沖縄戦、ペルーから発信 担い手は若者「歴史は文化」 県人会が動画制作


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
ペルー沖縄県人会が制作した沖縄戦と慰霊の日に関するメッセージ動画

 ペルー沖縄県人会は、沖縄戦や慰霊の日の継承と発信に取り組んでいる。2016年から慰霊の日前後に、リマ市内のペルー沖縄県人会館で展示を行っており、沖縄戦を紹介するメッセージ動画も制作した。制作を担ったのは20代や30代で、「歴史は沖縄の文化でもある」と言い切る。沖縄の文化への理解を深めるとともに平和のためにできることを考えようと、若い世代が動き始めた。

 県人会によると、20年は新型コロナウイルスの影響で展示ができなかったため、リモートで撮影を進め、約15分の動画をまとめた。県平和祈念資料館などから提供を受けた資料や写真に沿って、戦闘の経過や住民の犠牲を説明。戦後も土地の荒廃や生活の破壊で多くの人が沖縄を離れたことに触れた。県系人のペルーでの体験も盛り込んだ。

 制作に関わった3世の大城アレサンドラさんは「家族や友人と話す中で、沖縄文化は芸能や料理だけでなく、歴史でもあると気付いた」と話す。その上で沖縄戦や慰霊の日を通し、「グローバルな観点から粘り強く平和を世界に呼び掛ける」と見据える。同じく3世の伊芸ケンジさんは、家族や親戚と平和の絆を築く大切さを訴える。  第7回世界のウチナーンチュ大会に合わせ、沖縄を訪れた4世で県人会の小波津カリナ文化部長(30)は「平和のために何ができるか、私たちの立場で考えていくことが大切だ」と話し、小橋川ラウル会長は「広島や長崎に比べ、沖縄戦は知られていない」とした上で、「繰り返さないために知ることが大事だ」と強調した。

 動画は日本語字幕付きで、QRコードまたは、下記URLのリンクから視聴できる。
 https://www.youtube.com/watch?v=O1MP-yw4EsY

 (中村万里子)