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家探しは車いすだと大変<伊是名夏子100センチの視界から>135


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
イラストも描き、手作りした結婚式の招待状

 先月、引っ越しをしました。息子がもうすぐ高学年なので一人部屋が必要だと感じ、本年度内を目安に物件を探していたのです。しかし車いすユーザーなので、部屋探しのハードルが高く、入れる物件がほとんどありませんでした。アパートはエレベーターがないのがほとんどで、マンションでもエレベーターに行く前に数段の段差があることが多かったです。スロープがついていても、自転車用に作られているのか、傾斜が急だったり、幅が狭かったりと車いすには危なかったです。階段がない裏口があっても、狭かったり、ドアが開けづらかったり、遠回りになったりと使いづらい。一軒家も数件見たのですが、入り口に段差があるところばかりでした。ヘルパーさんも毎日数人来るので、駅からのアクセスも譲れません。

 そして何より災害時は避難が大変なので、ハザードマップも確認します。最低限の条件をクリアするだけでも厳しいので、広い窓がいい、バルコニーが欲しい、アイランドキッチンがいいなど、おしゃれな好みを付け加えることなんてできません。どうにか車いすでも入れる物件が見つかり、急いで引っ越すことにしました。

 しかし部屋の中でも、背が低い私にはさらなる難関が!キッチン収納が引き出しタイプなので、座ったままの私は中が見えなく、使いづらい。電気のスイッチも高くて届かない。窓が重くて開けづらい。収納は諦め、電気はオートセンサーかリモコンつきのものにし、窓は業者に交渉中です。

 また、私は骨折を繰り返しているので体の変形があり、右手と左手の長さが10センチも違います。左手だったら届くのに、右手では届かないところもあり、右側のものでも体の向きを変えて左手で取るようにします。体の使い方に試行錯誤を重ねます。

 安心、快適に住める場所を確保することは、生きていく上で何よりも大切なことの一つです。しかし今回改めて車いすユーザーの不便さ、生きづらさを痛感しました。歩ける人、障害のない人を基準に造られている建物ばかりで、選択肢が少なすぎます。いろいろな人が生活し、人は誰でも加齢に伴いできないことが増えてきます。建物の種類が増え、使う人に合わせて変更・調整がしやすくなると、いろいろな人の幸せにつながると期待しています。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。