国際クルーズ再開 “爆買い”回復に期待 小売、観光業で喜びの声


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新型コロナウイルスの拡大で、2020年3月以降国際クルーズ船の寄港は停止したままで、23年の再開に期待が集まる=15日、那覇市若狭の那覇クルーズターミナル

 国土交通省が15日、国際クルーズ船の受け入れを再開させると発表したことを受け、県内の関係者からは喜びの声が上がった。

 コロナ禍が本格化する前の2019年度に沖縄を訪れた外国人観光客249万人のうち、4割を超える106万人が海路を利用した。19年の港別の寄港回数では、那覇港が251回で全国最多だった。

 那覇市のデパートリウボウでは、コロナ禍前は寄港情報を売り場で事前に共有するほど、訪日客が盛んに訪れていた。担当者は「海外の買い物意欲が旺盛なお客さんが来てくれるのはうれしい。コロナ前は化粧品が主に売れていたが、10月11日に水際が緩和されて以降は、アパレル需要もある」と話した。

 10月3日に海外クルーズ船の再開要請書を国に提出した沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の下地芳郎会長は「国際クルーズ再開のめどが立ったことがうれしい」と喜んだ。今後は、安全の確保が重要な課題となる。「コロナの影響が完全になくなったわけではないので、安全安心なクルーズを作ること、離島などでの大型クルーズ寄港時の交通渋滞問題を解決することが必要だ」と指摘した。

 那覇港を管理する那覇港管理組合の照屋寛志常勤副管理者は15日の組合議会で、2023年には国内クルーズ船の寄港が11回見込まれていると説明した。国際クルーズ船については「国、県、船社などの関係機関と調整し、受け入れ再開に向け取り組む」とした。当山勝利県議に答えた。

 那覇港へのクルーズ船寄港は20年3月以降国内、国際ともに停止しているが、同組合の担当者によると23年1月1日に日本クルーズ客船「ぱしふぃっくびいなす」が寄港予定という。正式な寄港は11月下旬~12月上旬の那覇・南部地域協議会で決定する予定だ。担当者は国際線クルーズの受け入れ再開について「現段階ではいつから再開できるかは分からない」と話す。

 今後は港湾、医療、搬送、観光の関係機関から成る県クルーズ船受入協議会で受け入れ体制などを議論し、合意が得られた後に受け入れを再開する。県港湾課は「関係機関の受け入れ体制構築に向けて取り組んでいく。協議会で受け入れの合意が得られるように努める」と話した。

 (與那覇智早、知念征尚、武井悠)