下地イサムのデビュー20周年記念ライブが10月29日、那覇市の桜坂劇場であった。ゲストも招き、3時間半にわたって29曲を歌った。下地はミャークフツ(宮古言葉)を、ロックやジャズ、ラテンなどの音楽と融合させて世に知らしめた先駆者。唯一無二の世界観を持った楽曲の数々が、満員の観客を魅了した。
祝いの座開きは、優しいギターの音色とハスキーな歌声が心地良い「我達が生まれ島」で飾った。続いて下地とユニット「ザ・サキシマミーティング」を組む新良幸人が合流する。新良は「20年やってくれて、ありがとう」と、ときに逆風を受けながらも音楽活動を続けてきた下地に何度も感謝を述べた。大御所演歌歌手の物まねなども交えつつ同ユニットの作品を4曲歌い、最後は初めて2人で作った「SAKISHIMAのテーマ」を歌った。
ゲストでBEGINのギタリスト・島袋優とは、ユニット「シモブクレコード」として、スイートな楽曲「Vitamin I」など5曲を披露した。
ゲストが去ると、再び「民衆の躍動」などオリジナリティーあふれる曲を歌う。愛する夫に先立たれた祖母を思って作られた名曲「おばぁ」では、祈るように歌唱し、観客の涙を誘った。「おばぁの曲の次はおじぃの曲を」と、ギタリストの内田勘太郎をゲストに「やっう゛ぃおじぃ」を歌った。内田は、圧巻のギターテクニックで、下地の力強い歌を盛り上げた。
終盤は、新曲「炎天下」から「ターシ」「希望を注げ」とヒット曲を続けて歌い、「ワイドー」で一度幕を下ろした。下地は「たんでぃがーたんでぃ(ありがとう)。喜びに満ちあふれている。20年間ありがとう、これからもよろしくお願いします」と笑顔をはじけさせた。アンコールでは「バッシュンマ・ロックンロール」などをゲストと熱唱し、「感謝の気持ちでいっぱい(下地)」とファンへの思いを爆発させた。
公演は文化庁アーツフォーザフューチャー2事業を利用して開催された。
(藤村謙吾)