松くい虫、沖縄本島北部で5000本が被害 9月末調査 恩納村で3202本、1年で2.2倍


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松くい虫の被害が広がる東村の松林=16日、東村平良

 【北部】リュウキュウマツなどを枯らす松くい虫(マツノザイセンチュウ)の被害が沖縄県東村や恩納村、金武町など本島北部で広がっている。北部地域では、枯れたリュウキュウマツが2021年9月に約2500本が確認されていたが、22年9月末の調査では2倍の約5千本に上っている。各市町村は被害拡大を防ぐため、枯れた松の伐採焼却などを続けているが、山肌は赤く枯れた松が目立ち始めており、関係者は「やんばるの森に被害が広がるのではないか」と危機感を強めている。

 沖縄県内の松くいの被害は1993、2003年度に県内民有地の被害量(松くい虫被害材積量)が4万立方メートルを超え、深刻化。国頭村などやんばるの森でも被害が広がった。県などが防除対策を実施したことで過去最悪だった03年度の4万3980立方メートルをピークに被害は減少傾向にあった。

 過去5年間の被害材積量は17年度が2309立方メートル、18年度が1234立方メートル、19年度が700立方メートル、20年度が647立方メートルと減少したが、21年度が1954立方メートルと急拡大している。22年度はさらなる被害が懸念されている。

 東村では平良などで松くい虫による被害が9月末現在で少なくとも約1千本確認されている。東村農林水産課によると昨年度も村宮城や川田でも計約800本ほどの被害が確認され、そのうち479本を焼却処分した。

 恩納村では松くい虫の被害が今年9月に3202本に達し、前年同月の2・2倍となった。2年前の2020年9月は537本。伐倒焼却を実施しているが、被害の拡大は想定以上だという。
 (松堂秀樹、増田健太)