国が代執行手続きへ 辺野古埋め立て、知事承認取り消しを停止


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 【東京】政府は27日の閣議で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に関する県の埋め立て承認取り消しを「違法な処分だ」と判断し「法令違反の是正を図る」として地方自治法に基づく代執行の手続きに入ることを決定した。国が地方公共団体の法定受託事務に対して、地方自治法に基づく代執行手続きを取るのは初めて。

石井啓一国土交通大臣は同日午前の閣議後会見で「翁長雄志知事の違法な埋め立て承認の取り消し処分は著しく公益を害する」として、県に対して28日に承認の取り消しを取り消すよう求める是正勧告文書を郵送する考えを示した。国交省は27日、沖縄防衛局が提出した執行停止申立書の訴えも認め、知事の埋め立て承認取り消しの効力を停止させることも決定した。
 代執行手続きを定める地方自治法第245条は、国の是正勧告に県が従わない場合、国は文書によって県を指示し、さらに指示に従わない場合は高等裁判所へ訴えることができる規定となっている。
 県は国の是正勧告や指示には従わない考えで、辺野古新基地建設をめぐる県と国の争いは、法廷闘争に発展することが確実な情勢となった。
 国交省によると、28日に県へ郵送する是正勧告には履行期限を設定する予定で、同省の担当者は「(是正勧告文書の)郵送までに期限を決めたい」としている。
 石井氏は会見で「審査請求の審査過程で今回の翁長知事による取り消し処分は公有水面埋立法に照らして、違法であると判断した。仲井真弘多前知事が行った埋め立て承認は適法でなされたものであるにもかかわらず、これを取り消した翁長知事の処分は違法だ」と説明した。
 さらに防衛省が知事による承認取り消しの効力を一時停止するために提出した執行停止申立書についても「普天間飛行場の移設事業の継続が不可能となり、飛行場周辺住民などが被る危険性が継続するなど重大な損害が生じる」などとして、防衛省の訴えを全面的に認めた。執行停止の決定書は27日に発送し、沖縄防衛局に到着すると承認取り消しの効力が停止する。
 安倍首相は27日、訪問先のカザフスタンで、翁長知事の埋め立て承認取り消し処分について「違法だ。移設の目的は危険性除去であり、著しく公益を害する」と述べた。
 沖縄防衛局は14日に執行停止申立書と行政不服審査法に基づく審査請求を国交省に提出した。県は防衛局に反論する形で21日にその意見書と弁明書を国交省に提出していた。