伊江島の日本軍壕、沖縄県が現場を確認 部隊106人戦死、住民「一日も早く遺骨収集を」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
壕の通気口があったとされる場所で、元村厚生課長の内間亀吉さん(中央)から聞き取りを行う県職員ら=16日、伊江村

 【伊江】沖縄戦の伊江島の戦闘で、日本軍の部隊106人が戦死した埋没壕に関する県などの現地調査は最終日の16日、埋没壕の通気口があったとの証言が残る現場の確認などを行った。今後、県が厚労省に収集した情報を報告し、試掘を行うか否かを含め国が対応を判断する見通しだ。

 現地調査は2日間実施された。村民3人から証言を聞き取り、現地で内容を確認した。16日は、埋没壕の通気口があったとの証言が残る村家畜市場近くで、1980年代の国の遺骨収集に同行した元村厚生課長の内間亀吉さん(84)から、当時の発掘状況を踏まえ意見を聞いた。

 内間さんは84年の国による事前調査時、通気口の証言が残る地点から東に約100メートル付近で「壕の入り口があった」との証言を当時の玉城金蔵村長から聞いている。しかし、埋没壕の入り口は見つからず、当時発掘対象から外れた。

 通気口がこの埋没壕につながっているとしたら、壕の長さは約100メートルとみられる。また、通気口は北側の林に多数あるという自然壕につながっている可能性もあるという。

 80年代の調査で発掘した壕は37カ所。このうち通路の長さが最長だったのは、城山の本部壕内の約50メートルだった。内間さんは「自然壕か日本軍が掘った壕かは試掘しないと分からないが、100メートルも掘ったとしたら大変な労力だ」と指摘した。その上で、「亡くなられた方が成仏できるよう、国は一日も早く遺骨を収集してほしい」と語った。

 80年代の国の遺骨収集の様子を写真に収めた知念正行さん(83)からも話を聞き取った。
 (岩切美穂)