世界自然遺産、宿泊施設、福祉の視点から沖縄観光の方向性を探るシンポジウム「選ばれる持続可能な観光地と多様性」が6日、北中城村のイオンモール沖縄ライカム内のイオンホールで開かれ、約70人が来場した。名桜大大学院国際文化研究科国際文化システム専攻が主催し、有識者が国連の持続可能な開発目標(SDGs)を踏まえて議論した。
NPO法人バリアフリーネットワーク会議の親川修代表は、2007年に開設された「那覇空港しょうがい者・こうれい者観光案内所」での実績などを基に、バリアフリー・ユニバーサルデザインを推進することで「障がい者・高齢者の沖縄観光の需要を喚起できる」と指摘。その上で、県外で受けているサービスを県内でも同じように受けるための手続きを簡素にする「福祉観光特区」を提言した。
また、東京パラリンピックで関心が高まった障がい者スポーツの合宿先としての可能性を、実例を交えて説明。すでにある施設・設備がどの競技種目に使えるかを整理し、発信していく必要性も指摘した。
名桜大の新垣裕治教授が沖縄島北部の世界自然遺産登録をきっかけとした環境に負荷がかかるオーバーツーリズムの可能性を指摘。主に外国人客を対象としたエコツーリズムを推進することで分散化が図れるとした。
同じく東恩納盛雄教授が宿泊施設の従業員に多様な人材、特に女性が活躍できる場を確保するため、複数の宿泊施設が連携して保育園を設置し、小児科診療所も併設するなどの施策の必要性を指摘。従業員の福利厚生を充実させることが宿泊施設のサービスの質を高めることにつながると訴えた。
(安里周悟)