「貴重な史料まだまだある」沖縄関係史料重要文化財指定へ 「国王朱印状」は宮古で唯一


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琉球国王朱印状〈大首里大屋子充/万暦二十三年八月廿九日〉(県立博物館・美術館提供)

 国の重要文化財指定に答申された「銘苅家文書」「上江洲家関係資料」「琉球国王朱印状」。沖縄独自の文化と歴史が、現存する史料で再評価された。今後さらに古文書の修復作業や目録整理が進めば関係者は「文化財に相当する史料は(他にも)ある」と期待を寄せた。

 「銘苅家文書」は、第二尚氏の王統に連なる銘苅家で受け継がれた史料だ。特に古琉球時代(近世より前)の「朱印状」は、沖縄戦で多くの史料が失われた中で琉球史研究上、非常に貴重とされる。

 また琉球国王から宮古島に与えられた「琉球国王朱印状」は縦28・7センチ、横83・7センチあり、現存する朱印状の中で唯一の三紙継ぎで、本紙の全長が最も長い。

 これらについて豊見山和行琉球大学名誉教授は「薩摩藩に征服される以前の琉球の史料は少なく、特に同時代に発布された文書は重要だ」と指摘する。特に今回の「琉球国王朱印状」について「宮古で古琉球の史料はこの1点のみで、非常に貴重だ」と述べる。

 「琉球の文化財を国としても重要だと位置づける流れがある」と語る。その上で「上江洲家関係資料は長年の研究や保存、修復の蓄積が今回の指定に結びついた。今後も修復作業や目録整理などの地道な作業が進めば、まだまだ沖縄の各地に重要文化財に値する史料はある」と話した。

(宮城隆尋)