沖縄の海底資源生かせ 産学の動き活発化


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 沖縄周辺の海底資源を産業化しようと、県内の産学が動きだしている。琉球大学産学官連携推進機構は11月、第1回沖縄海洋ロボットコンテストを開く。プールではなく、全国でも珍しい海での開催により、学生の海底資源に対する関心を深め人材育成の強化につなげる。これまで海底資源の認知度向上に向けた講演会開催やアンケートを実施してきた、有志企業で構成する沖縄海底資源研究会は5月、一般社団法人「沖縄海底資源産業開発機構(OSR)」を設立した。今後、行政の事業受託や政策提言を進める。

第1回海洋ロボットコンテストに向け、資源探索ロボット開発を進める沖縄職業能力開発大学校の学生たち=9月14日、沖縄市の同校

 海洋ロボコンは、パソコンで遠隔操作する「ROV」と自動制御の「AUV」の2部門がある。ブイで囲んだコースを外れず、いかに速くゴールできるかを競う。プールとは違い、海水中はモーターがむき出しだとショートしやすいため、防水機能などより多くの工夫が必要になるという。
 昨年のプレ大会には県内外から9校11台が出場。ROVは長崎大工学研究科と日本文理大の合同チーム、より難易度の高いAUVは唯一ゴールにたどり着いた沖縄職業能力開発大学校が最優秀賞に輝いた。
 11月21、22の両日に那覇市のうみそら公園で開催する第1回大会には、昨年と同じ9校11台が参加する。実行委員会の岡田正之委員長(沖縄職業能力開発大学校教授)は「沖縄周辺には熱水鉱床もあり、国も調査をしている。現在は調査機器の部品のほとんどが外国製だが、今後国内で機器製造が産業化する可能性もある。将来を見据え、人材を育てておく必要がある」と意義を語った。
 人材育成については、琉大産学官連携推進機構が2014年度に県事業でまとめた報告書でも、琉大や沖縄科学技術大学院大学、沖縄高専などに海洋分野に特化した学科の設置を検討することなどが盛り込まれている。
 一方、OSRの前身である沖縄海底資源研究会は08年に創設された。13年に一般市民向けに認知度調査を実施するなど、海底資源の産業化を見据え活動を続けてきた。ことし11月には海洋研究開発機構(JAMTEC)や経済産業省の関係者ら招き「未来をひらく海底資源シンポジウム2015」を開く予定だ。
 姫野達哉専務は「法人化により、これまで受託できなかった事業も実施できる」と語った。「資源を陸揚げするまでは国や大企業がやる。県内で産業化の可能性があるのは、その後の精製過程だ。近海で取った金属を使った金細工で観光用のお土産を作るなどさまざまな事業が展開できる」と展望した。(長嶺真輝)