「沖縄在来馬を知るシンポジウム2022」(琉球新報社主催、全国乗馬倶楽部振興協会)が20日、那覇市の琉球新報ホールで開かれた。昨年に続き2度目の開催。日本在来馬8種のうち、県内には宮古馬と与那国馬の2種が生息しており、参加した市民ら約100人は琉球王国時代から根付く文化や歴史への理解を深めながら、種の保存に向けた2種の活用法などを考えた。
基調講演では沖縄の競馬の歴史に詳しいスポーツニッポン新聞社の梅崎晴光さんが登壇し、県内各地に地名や史跡として残る「馬場」からみる在来馬やその歴史をひもといた。
梅崎さんは「馬場は競馬をするためにあり、県内で198カ所確認が取れている」とし、馬に関わる文化が各地の暮らしに密接に結びついていたことを指摘した。
近代化の流れで競馬が廃れ出すと、馬場は運動場、道路などに変わり、出征兵士の壮行会場としても使われた。中南部では軍の滑走路に転用された経緯にも触れ「宜野湾馬場は普天間基地の滑走路になっている。平たんな馬場が滑走路の条件に一致した」と説明した。
パネルディスカッションには梅崎さんや在来馬保護に取り組む5氏が登壇。足並みの美しさを競う琉球競馬を2013年に復活させた「沖縄こどもの国」の翁長朝さんは「コロナの影響で中止しているが、来年1月に3年ぶりに開催する」と報告、集客による経済面の対応も高めながら保存に取り組む姿勢を示した。
中央競馬騎手として活躍した岡部幸雄さんは活用について「沖縄は観光地でさまざまなイベントがある。そうした場で積極的にアピールすることで在来馬の存在を知ってもらえる」と提案した。
宮古馬保存会の長濱幸男さん、ヨナグニウマ保護活用協会の久野雅照さん、石垣島馬広場の朝倉隆介さんは、地域との交流体験などを通して在来馬への理解を浸透させる重要性を訴えた。
琉球新報社1階広場には与那国馬と触れ合える特設コーナーも設置された。 (小波津智也)