沖縄のスーパーで進む無人レジ 「長い間踏み切れなかった」中で急速に進んだ背景は?


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フルセルフレジを12台導入した那覇メインプレイスで買い物する客=10月、那覇市おもろまち

 沖縄県内のスーパーでレジの無人化が進んでいる。サンエーは本年度に入り大型店2店舗でフルセルフレジを導入。リウボウストアも11月中で全店舗へのフルセルフレジの導入を終える。2010年頃から無人化を進めてきたイオン琉球は、スマホで精算ができるシステムを入れた。無人化が急速に広がる背景には店側の人手不足と新型コロナ下で非接触のニーズの高まり、店の混雑緩和が急務となったことがある。一方で、各社ともさまざまな客のニーズがあることから「通常レジもなくならない」とする。

 レジの仕組みは大きく四つに分けられる。(1)精算から袋詰めまで全て従業員が行う「通常レジ」(2)従業員が精算し、袋詰めは客が行う「セルフパックレジ」(3)従業員が商品バーコードを読み取り、客が精算機で支払いをする「セミセルフレジ」(4)バーコード読み取りから袋詰めまで全て客が行う「フルセルフレジ」―。(1)~(3)は各レジに従業員が必要だが、(4)は基本的に不要。機械の扱い方など客に対応するために複数台に1人を配置する程度だ。

 リウボウストアは各店のレジの6割がフルセルフレジになる。担当者は「レジの人手が不足している。一方で、レジの待ち時間は解消しなければならず、両方をかなえられるのがフルセルフレジ」と話す。

 タウンプラザかねひでも今年、フルセルフレジを導入。理由はこちらもレジ待ち時間と人員不足の解消だ。サンエーはレジの混雑解消のため、16年にキャッシュレス専用レジを導入。18年からは客が袋詰めをするレジと店員が袋詰めをするレジを完全に分けるなどしてきた。

 だが、基本はあくまで対面。広報担当者は「お客さまのお迎えから最後の『ありがとうございました』までしっかり対応したいという方針もあり、長い間フルセルフには踏み切れなかった」と明かす。

 それが変わったのが、新型コロナ。非接触のニーズが高まり、店の混雑につながるレジ待ち時間の解消も急務となった。今年5月に客の年齢層が最も若い浦添西海岸パルコシティからフルセルフレジを導入。待ち時間が大幅に改善し、生産性が上がるなどの効果が見られたことから10月に、那覇メインプレイスも導入した。全ての店舗で導入するかは未定だ。

 客が買い物しながらバーコードを読み取ることで、レジ前の待ち時間をほぼゼロにし始めているのがイオン琉球。マックスバリュ一日橋店で導入した「どこでもレジ レジゴー」は買い物しながらスマホで商品バーコードを読み取り精算していく。客は専用レジでお金を払うだけ。

 担当者は「お客さまにとってレジに並ぶことはストレス。それがなくなる。店にとってもレジに人を割かない分、品出しなど他の業務に人を充てられ、全体のサービス向上につながる」と強調した。
 (玉城江梨子)