現金輸送を共同化へ 琉銀・海銀 来年度、出資会社設立


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バックオフィス業務の共同化検討を発表した琉球銀行の川上康頭取(左)と沖縄海邦銀行の新城一史頭取=28日、那覇市の琉球リースビル

 琉球銀行の川上康頭取と沖縄海邦銀行の新城一史頭取が28日、那覇市内で共同会見を開き、バックオフィス業務の共同化に向けた検討を始めることで覚書を締結したと発表した。主に現金輸送や行内メール便、ATM関連業務において共同化を検討するとし、業務を担う共同出資会社を2023年度中に設立する方針も示した。

 超低金利による収益環境の厳しさが続く中、両行とも事務や管理といったバックオフィス業務の経費削減が共通課題となっている。銀行の垣根を越えた協業で重複する業務を集約し、効率化することで現金やメール便の配送コストなどの削減を目指す狙いがある。

 共同化は当面本島内を対象とし、離島への適用も視野に入れる。設立を計画する共同出資会社が警備輸送を担い、両行の業務を委託する。コスト削減効果は年間約1億円を試算し、将来的には共同化の範囲を広げて効果を高めたい考えだ。

 川上頭取は「共同化によってコストが削減でき、収益を新たな投資に回すことできる」と主張。21年に沖縄銀行と包括業務提携協定を締結したことに触れ「パートナーシップは継続している。共同会社について沖銀の参加を拒否するものではない」と述べた。

 新城頭取は人口減少で金融機関を取り巻く環境が厳しくなっているとし、「沖縄はまだ資金需要はあるが、中長期的に経営体力を確保するためには共通化できるものは積極的にやりたい」との考えを示した。一方で今後の経営統合や資本提携の強化については、「経営統合はお客様にとって選択肢が減ることになり、減る以上のメリットがなければ意味がない」(川上頭取)など両行ともに否定した。 (小波津智也)