男性の生きづらさ 東さよみ(助産婦)<未来へいっぽにほ>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
東さよみ(助産婦)

 11月19日は国際男性デーでした。男性や男子の健康に目を向け、ジェンダー平等を促す日とされています。仕事では女性をサポートすることが多いですが、DVや予期せぬ妊娠、性暴力被害と、加害側に多い男性とも間接的に関わります。男性の生きづらさがすべて暴力につながるとは思いませんが、性被害加害について調査をしているカナダのメグヒックリングさんは「加害者はかつての被害者だ」と言っています。社会からさまざまな暴力を受けた人は、暴力を学んでしまうのです。

 では、社会からの暴力とは何でしょう。「男らしさ」の強要は暴力ではないでしょうか。弱音を吐けない、相談できない、そんな男性の多いこと。女性は「美しく」、男性は「強くあれ」と、ジェンダーバイアスの呪縛にかけられていませんか?

 男性は男子の頃から性を学ぶ機会が女性に比べて圧倒的に少ないと感じます。女子は思春期に入るとまず月経教育があります。月経の手当てなど、身近な大人に聞くこともできるでしょう。初経を迎えると、お赤飯でお祝いといったご家庭もあります。性に対してポジティブなイメージです。

 男子はどうでしょう。精通が起きた時、なぜか後ろめたいような、マスターベーションに関してもネガティブな感情が湧いてくるようです。その結果テクノブレイク(過度な自慰行為で死亡する)なんて都市伝説が生まれるのでしょう。

 時に性はごまかされ、下ネタとして笑いにされます。からだの成長を喜び、健康に生きるための教育が必要です。男性が「男らしさ」の鎧(よろい)を脱ぐ時、ジェンダー平等が一歩先へ進むと思っています。