名護市辺野古の新基地建設で、軟弱地盤改良工事に伴う防衛省の設計変更申請を県が不承認とした処分を巡り、沖縄県が国を相手に起こした2件の訴訟の第1回口頭弁論が1日、福岡高裁那覇支部(谷口豊裁判長)で開かれた。国土交通相が県の不承認を取り消す裁決をし、さらに承認するよう求める是正の指示をしたのは、どちらも違法な国の関与だとして、取り消しを求めている。即日結審し、判決は来年3月16日に言い渡される。
この日の弁論で、玉城デニー知事が法廷で意見陳述した。開廷前の集会で玉城知事は「一日も早く、一つでも多く、米軍基地の過重な負担、平和のための県民の願いが進められるよう、裁判所には中立公平な裁判を望みたいとしっかりと主張していきたい」と語った。
国側は、裁決については「裁判の対象にならない」として訴えを却下するよう主張。「是正指示」については、国交相裁決が有効であることを前提に、請求棄却を求めた。
新基地を完成させるためには、設計変更申請に対する県の承認が必要。県は昨年11月、軟弱地盤の調査が不十分であることなどを挙げ、不承認としたが、国土交通相はことし4月、県の不承認を取り消す裁決をし、さらに是正の指示をした。
県は裁決と是正の指示について、総務省の第三者機関・国地方係争処理委員会(係争委)に「違法な国の関与」として審査を申し出ていた。係争委は県の申し出を退け、県が係争委の判断を不服として提訴に至った。2件とも地方自治法に基づく関与取り消し訴訟で、一審の審理が高裁からとなる。
不承認を巡って、県は行政事件訴訟法に基づき、国交相裁決の違法性を問う裁決抗告訴訟も起こしている。