「仁美ねーねー」と慕ってくれる子が国中の期待を背負い、躍動する姿に時間を忘れて声援を送った。2日早朝のサッカーW杯カタール大会1次リーグ日本対スペイン戦で、またしても起死回生の同点弾をたたき込んだ堂安律(どうあんりつ)選手(24)の母・美幸さんのいとこに当たる久貝仁美さん(62)=沖縄県宮古島市伊良部=は「ゴールの瞬間は思わず大声で叫んだ。とにかくうれしい」と興奮冷めやらぬ様子で話した。
W杯初戦に合わせてカタールに出発する美幸さんから連絡があった際に久貝さんは「私の分もお願いねと応援を託した」と振り返る。
堂安選手は「明るくて優しい子」。久貝さんらを訪ね、たびたび伊良部に遊びに来ていた。「仁美ねーねーと呼んで慕ってくれて。私は律から伊良部の親戚のキャプテンに任命されている」と笑う。
今年6月に遊びに来た際には親戚一同が駆け付け、貴重なオフの時間をみんなで楽しんだ。「律は島の食べ物が好き。特に沖縄そばとポーク卵、油みそは私が作った物を『おいしい』と何度もおかわりしてくれてね」とほほえむ。小さな頃からの夢だった五輪とW杯出場をかなえた姿に「ゴールも決めてくれて本当に誇らしい。親孝行で親戚孝行な子」と喜ぶ。
出場するだけでなくドイツ戦にスペイン戦と日本代表を救う値千金のゴールを挙げた。試合後は久貝さんの電話が鳴りやまなかった。「島中の人から祝福と応援をもらった。本当にありがたい」。6日には決勝トーナメントのクロアチア戦が控える。「律に届くよう島から大きなエールを送りたい」と話した。