サッカー日本代表のビッグマウス堂安律選手(24)が、ワールドカップ(W杯)カタール大会のスペイン戦で「期待して」との言葉通り、ゴールネットを揺らした。逆転勝ちした初陣のドイツ戦に続き、起死回生となる同点弾。「あそこは俺のコース。絶対に打ってやると決めていた」とドヤ顔。有言実行を自らに課す兵庫県尼崎市出身の「あまっ子」は、快挙の立役者として輝きを増した。
勝利後には「まだ歴史を塗り替えたわけではないが、大きな壁を乗り越えた」と胸を張った。大会前から公言していた優勝の目標は「冗談抜きで本気。やっとみんな信じてくれたと思う」。さらなる快進撃に自信を見せた。
小学4年まで活動した地元の浦風フットボールクラブで幼稚園の頃から片りんをうかがわせた。「蹴ってみ」。クラブ代表の田村将行さん(67)がボールを前に転がすと、ドスンと力のこもったキック。「何や、今の」と驚かされた。
ドリブルにもたけ、コーチが「キーパーを抜いてしまえ」と声をかけると見事に実行。負けん気の強さもその頃からで「シュートを外したり、相手に止められたりしたら泣く時もあった。自分に腹が立ったんでしょう」と田村さん。
堂安は隣の西宮市の強豪クラブを経て、J1ガンバ大阪のジュニアユースに入団。6年生まで成長を見届けたいと思っていた田村さんだが、高いレベルに送り出したことで、プロ入りや海外移籍、W杯での躍動に結びついたと満足している。
「世界に通用する選手。律がいないとドイツ戦もスペイン戦も逆転はなかった。有言実行を果たしていることがうれしい」。自宅のテレビの前でガッツポーズを繰り返し、教え子の雄姿に見入った。
(共同通信)