支えられ成長する少年 「僕は上手にしゃべれない」椎野直弥著<司書の押し本>6


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「自分の弱い部分を受け入れるきっかけにしてほしい」と話す齊藤史織さん

[推しポイント]ありのままの自分 肯定を

 悠太はうまくしゃべることができない自分を受け入れつつ、悩みに立ち向かって努力を続けます。ありのままの自分を肯定するのは勇気がいることです。悩んでいると自分だけが苦しい思いをしていると感じてしまうこともあると思います。本書はそんな子どもに寄り添い、周りの人たちとお互いに支え合って生きているのだと感じられる心温まるお話です。

 (齊藤史織・那覇市立石嶺小学校)

[あらすじ]支えられ成長する少年

 主人公の悠太は、中学入学時の自己紹介が嫌で、仮病を使い逃げ出してしまう。吃音(きつおん)に悩み、上手にしゃべれないから。

 このまま逃げていてもダメだと思い悩む中、「上手にはっきりと声を出せるようになります」という放送部員の募集チラシに惹(ひ)かれ入部を決意する。

 時にはくじけながら、悠太を優しく見守る人たちに支えられて成長していく。


 若者の活字離れ、読書離れが指摘されて久しい。学校からは「図書館離れ」に嘆く司書の声が聞こえる。読書活動推進を目的に、新企画「司書の推し本」では、子どもたちに読んでもらいたい「推し本」を、学校図書館の司書に紹介してもらう。