【与那国】与那国町が、台湾有事を想定して事前に島外への避難を求める町民に、旅費など必要な費用を支給するための基金を設置することが5日までに分かった。国民保護法では国による武力攻撃の事態認定後、住民支援に当たることとなっているが、基金は事態認定前の必要費用への支給を想定している。
町議会は関連条例案を町議会9月定例会で全会一致で可決している。基金は町予算の一部を積み立てるもので、期間や額など詳細は今後固める。町は詳細を詰めた上で、改めて議会に諮る見通し。
9月の審議では「有事の危機をあおることになるのではないか」とする意見も出た。事態認定前の支給について、町の担当者は「国の事態認定までは時間がかかるかもしれない。その前の避難などに充てるためだ」と理由を説明する。基金の使い道は、避難のための旅費や生活資金などを想定している。
先月30日に町内であった弾道ミサイルに備えた避難訓練の後、取材に応じた糸数健一町長は「どうしようもない状況になった場合は、各町民に給付金を振り込み、各自でなんとか生き延びてくれと(いう考えだ)。最低限やれるべきことはやらないといけない状況だ」と基金設置への考え方を明かし、台湾有事への危機感を語っていた。
(西銘研志郎)