〈133〉がん予防の特効薬とは? リスク高い人は検診を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 毎年がんになる人の数や、がんで亡くなる人の数は決まっています。例えば最新のがん登録事業によると沖縄県で1年間にがんになった人は、2016年は8165人、17年は8367人、18年は8349人で、ほとんど変わりません。意外だと思いませんか? もともと体の構造は似ているので当然かもしれません。

 しかし、食生活や生活習慣は千差万別にもかかわらず、がんで亡くなる人の数は一定なのです。「私たち自身や、大切な家族、周りの方も一定の割合で、がんになる可能性がある」と言うこともできます。

 現在、日本人が最も多くかかっているがんは何かご存知ですか? それは「大腸がん」です。しかもがんの中でも大腸がんの死亡率は男性1位、女性2位です。大腸がんは肺がんや胃がんと比べて治りやすいがんです。それなのに死亡率が高いのはなぜでしょう? それはがんと診断されたときにはすでに進行していることが多いからです。

 多くの方が、症状が出現してから病院にいけばよいと考えているのではないのでしょうか? がんは症状が出る頃には進行していることが多いのです。ですから、症状が出る前に早期発見することがとても大切です。しかも大腸がんのリスクはある程度分かっており、赤肉・加工肉の摂取、飲酒、喫煙、肥満などがあります。

 私たち沖縄県民は食生活、生活様式の変化により、これらのリスクにさらされ、大腸がんになりやすくなっています。家族歴もがんとも関わりがあるとされています。大腸がんは検査を受けることで予防できる病気の一つですので、リスクの高い方はぜひ検診をうけていただきたいです。

 病気になると症状による肉体的精神的苦痛のみならず、通院や治療のために私たちの大切な時間を費やしてしまいます。検診以外に科学的に証明されたがん予防法はありません。早期に発見して、早期に治療するしかないのです。検診を受けて健康を確認し、心も健やかになれるような充実した人生を過ごせるようにしませんか?

(金城達也、琉球大学病院 外科)