県議会は賢明な判断を 藤川伸治(教員のメンタルヘルスプロジェクト事務局長)<未来へいっぽにほ>


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藤川 伸治さん(教職員のメンタルヘルスプロジェクト事務局長)

 「教職員のメンタルヘルスプロジェクト」では精神疾患による病気休職者を減らす仕組みを全国の教育委員会に提案している。沖縄は精神疾患による休職者率が15年連続ワーストが続いているが、県教委は他県以上に危機感を持ち、真摯(しんし)な姿勢で向き合っていると感じる。半嶺満教育長をはじめ、担当職員と話すと真剣さがヒシヒシと伝わる。

 メンタルヘルス対策の最大の課題は、効果的な仕組みをつくるための財源を確保することだ。それが極めて難しい。半嶺教育長は9月議会で、20年度の公立小中高校の教職員の病気休職者は389人で、そのうち188人が精神疾患だと答弁した。精神疾患で休職した教職員の代替者を配置するための人件費は8・7億円かかる。現在は代替者を見つけることも困難で、学校教育は危機的な状況にある。

 学校以上に過酷な労働環境と言われるのがIT企業であるが、その中でも精神疾患による病休者を極めて低率に抑えている会社がある。私たちは、沖縄の教育現場でその会社レベルのメンタルヘルス対策を講じた場合、3年間で精神疾患による病休者を半減させることができると想定している。

 そのために必要な予算は1年間で2億円、3年間で6億円。対策を導入しない場合、先述の代替人件費を例に考えると代替者の人件費は3年間で26・1億円にのぼる。人件費は税金であることを忘れてはならない。

 私たちは税金の効果的な使途を決める県議会に、精神疾患による病休者を激減させる施策実現を求める陳情書を提出した。各議員の賢明な政治判断に期待している。