〈134〉膝の痛みの軽減策 まず3カ月始めませんか?


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 今日は膝の軟骨がすり減って痛みがおこる、変形性膝関節症のお話です。実は私もO脚(がに股)で変形性膝関節症があり、つらい膝の痛みを経験しました。手術も良い方法ですが、今回は「日常生活の注意点」と「痛みを軽減する私の工夫」についてです。患者さんに普段お話している内容ですが、限られた紙面のためかなり省略していることをご了承下さい。

 (1)ダイエット

 こう言うと「あーまたか。何回も聞いた。膝が痛くて運動ができないのに!」と言われます。そこで私の患者さんで配達の仕事をされている63歳男性のお話です。彼のダイエット法は、とてもシンプル。「1日3回の食事。間食はせずにお茶を飲む。先生から教わったことを続ける」です。160センチ、72・2キロの彼は1年かけて減量し61キロです。痛みと病気の進行が止まり、健康診断の検査値も全て正常化しました。患者さんの多くが「3kgの減量」に成功すると痛みが減るのを実感するので、さらに努力が続きます。

 (2)徹底した椅子生活

 床を避けましょう。椅子は床からの立ち上がりに比べ楽です。しゃがむ姿勢、特に正座は厳禁です。同じ理由で洋式トイレとベッドをお勧めします。椅子の座り方が大事です。少し深めに座ると両足裏全体が地面に着きます。その状態から両足を前へ伸ばし、かかとが地面に着いた状態にすると膝がリラックスして楽です(図―1)。

 (3)ゆっくり歩く

 普段から意識してゆっくり歩きましょう。家に帰ってからも膝が楽です。駅構内や団体旅行など他人のペースで早歩きさせられると膝が痛みます。

 (4)足底板(そくていばん)を使う

 靴の中に入れる医療用の中敷きです。私も使い、効果があります。

 (5)筋トレ

 始めはひとつで十分です。腰かけて片方の足首を反らせ膝を伸ばして止めます。1分を目標に片足ずつ交互に。テレビを見ながら気楽にどうぞ(図―2)。

 すぐに効果は出ませんが、続けると痛みが改善します。始めてみませんか。まず3カ月。いつ始めても大丈夫です。

(浦崎賢演、県立八重山病院 整形外科)