埋め立て資材運ぶダンプ、当初説明の5倍、1日900台の日も 辺野古新基地建設 本部・塩川搬出5年


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大型車両の前で抗議する市民=8月2日午前7時20分ごろ、本部町の本部港塩川地区

 【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、沖縄防衛局が本部港塩川地区から工事資材の搬出を開始して15日で5年となった。資材を積んだダンプの台数は、防衛局などが当初、地域住民らに説明していた3~5倍となっており、埋め立て工事を加速化する狙いがあるとみられる。現場で抗議する市民らからは反発の声が上がっている。

 防衛局などは2017年11月、地域住民らに作業内容などを説明する場を設け「護岸工事用の石材」の運搬で、時間は月~土曜日の午前8時~午後5時、1日当たり10トンダンプトラック160台相当としていた。その後、17年12月に石材などの搬出、19年4月から土砂の搬出を開始した。

 一方、本部町島ぐるみ会議によると、ダンプの台数は増加傾向にあり、現在は1日約500~900台が土砂などを積んで港までを往来。作業時間も説明よりも1時間早い午前7時から始まることも常態化している。稼働日数も増加傾向にあり、22年は11月時点で21年の日数を上回っている。土砂の搬出作業の影響で、雨の日は赤土混じりの濁水が道路などに流出する状況も確認されているという。

 島ぐるみ会議側は作業内容の変更などについて「防衛局による具体的な説明はなされていない」と主張する。崎本部区に住む女性も「説明を聞いたことがない。粉じんの被害もある。当初よりも多くなっているのは許せない」と憤る。

 一方、防衛局は本紙の取材に対し「当時予定していた護岸工事の内容に応じて説明した。地元の採石業者などが情報提供や意見交換を行ってきていると承知している」などと回答している。

 島ぐるみ会議の原田みき子さんは「業者に任せるのではなく、防衛局が説明会を町民にすべきではないか」と訴えた。
 (長嶺晃太朗)