沖縄の総合雑誌「青い海」全145冊復刊へ 71年に創刊 文化芸能や基地論評「現代にも示唆」


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「青い海」復刻版を発刊する「三人社」の越水治代表取締役(左)と、監修の高江洲義寛さん=1日、那覇市の琉球新報社

 1971年に大阪で創刊され、85年まで続いた沖縄の文化総合雑誌「青い海」の復刻版が発刊された。10月の配本(第1号から第22号)を皮切りに、2025年11月の配本まで全7回かけて、全145冊を復刻し、刊行する。「戦後の地方新聞・雑誌シリーズ」や「ミステリ雑誌シリーズ」など、戦前・戦後の出版物の復刻版を発刊している、京都の出版社「三人社」(越水治代表取締役)が手掛ける。

 「青い海」は、石垣市出身で元琉球新報記者だった津野創一氏が1971年、大阪で創刊した。本土に沖縄差別が根強く残っていた時代に、若者の沖縄への誇りを喚起するため、タイトルには「あすの沖縄をつくる若い広場」を掲げた。

 創刊号の表紙には版画家・儀間比呂志氏が「民族の誇りと、文化を守ろうとする、若人のけがれのない瞳の美しさ」を描いたという力強い沖縄女性が配された。

 72年6月号からは「沖縄のこころ」、73年秋季号からは「沖縄の郷土月刊誌」、84年新年号からは「沖縄の総合月刊誌」とコンセプトを変化させつつ、時に編集者を交代して発刊を続けた。

 当時の編集者の一人で、復刻版の監修を務める高江洲義寛(ぎかん)さん=那覇市=は「『青い海』で論じられた沖縄の文化芸能や基地問題は今も議論が続いている。同書は現代社会の人々にとっても示唆に富んだ内容が描かれている」と話す。

 越水代表は「同書は沖縄や日本を考える上で価値がある、日本を代表する雑誌の一つだ」と語り、日本復帰という変革の時代に生まれた名作が、多くの人の手に取られることを願った。「青い海」の復刻版は全145冊と別冊1冊。問い合わせは電話075(762)0368。
 (藤村謙吾)