辺野古のサンゴ採捕、沖縄県は「不許可」も国が取り消し 農相「違法かつ不当」


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新たな護岸建設が始まった辺野古の新基地建設現場=2022年3月27日午前10時40分ごろ、名護市

 【東京】米軍普天間飛行場移設に伴う辺野古新基地建設工事でのサンゴの特別採捕(移植)許可申請について、県の不許可処分を不服とした沖縄防衛局の審査請求に対し、野村哲郎農林水産相は16日、県の不許可処分を「違法かつ不当」として取り消した。県の処分は特別採捕の条件を定めた県漁業調整規則や漁業法に反するとした。

 移植対象となっていたのは、大浦湾側の小型サンゴ類約8万4千群体、ショウガサンゴ8群体、大型サンゴ類21群体。沖縄防衛局は7月に移植の許可申請を県に提出したが、県は軟弱地盤の改良工事のための設計変更を認めていない点などを理由に、申請を認めなかった。

 農水相の裁決を受けて玉城デニー知事は「県が主張してきた内容が、どのように判断されたのか裁決書の内容を精査する必要がある。裁決書が届き次第、内容を確認、精査した上で、県としての対応方針を検討していきたい」とするコメントを発表した。

 裁決書によると、斉藤鉄夫国土交通相が4月、辺野古新基地建設工事についての防衛局による設計変更を承認するよう地方自治法に基づく是正指示を行った点などを指摘。防衛局の変更申請を承認していないことなどを理由として、サンゴ移植を不許可とした県の判断を退けた。

 サンゴ移植については「水産資源の保護培養」のために必要性が認められるとした。

 サンゴ移植を巡る農水相による裁決は、昨年12月に続き2回目。1回目の裁決では防衛局が同7月に始めたサンゴ移植について、高水温期を避けるなどの条件から逸脱したとして許可を撤回した県の処分を違法とし、処分を取り消していた。

(安里洋輔)