【北部】沖縄県金武町の養鶏農場で鳥インフルエンザが確認されたことで、周辺の養鶏農家は消毒用の消石灰の散布を始めるなど対応に追われた。畜産関係者らは「経営にも打撃だが、殺処分は精神的なショックも大きいだろう」「これ以上拡大しなければいいが」などと、被害農家を思いやった。
県によると、県内で飼養されている家禽(かきん)は2021年時点で採卵鶏が137万羽、ブロイラー(肉用鶏)が約39万羽。県外での感染事例が相次いだことから、県は11月から家禽農家に対してウイルスの消毒に効果があるとされる消石灰の配布を始めていた。
本島北部で精肉用に約10万羽を飼育する男性は「こんな近くで発生するとは衝撃だ」と青ざめる。普段から消石灰をまき、車のタイヤを洗うなど警戒してきた。「もし感染したら即殺処分。経営は大打撃だ。今まで以上に対策を徹底しなければ」と話し、農場の入り口に消石灰をまいた。
周辺の畜産農家からは同情の声も上がる。宜野座村で肉牛農家を営む男性(66)は「いざ殺処分となると経営が困難になる上、自分が育てた家畜を殺さなければいけない。失業以上のダメージを受ける」と話し、被害農家の心情を推し量った。
(岩切美穂、増田健太、松堂秀樹)