高病原性鳥インフルエンザ 感染経路は?対策は?識者に聞く


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(左)工藤俊一氏 (右)佐野文子氏

工藤俊一氏(県獣医師会会長) 小動物運んだ可能性も
 

 全国各地に飛び火するように高病原性鳥インフルエンザが確認されているが、飛んでいる鳥の移動を制限することはできないので、発生したらそれぞれの地域で抑え込むしかない。

 今回の感染ルートはまだ明らかになっていないが、渡り鳥がウイルスを運び、その排せつ物などに付着したウイルスを小動物が養鶏場に運んでいる可能性がある。窓がなくても小さな隙間からネズミなどの小動物は入り込む。大規模養鶏場であれば、(平常時でも)1日に数羽は死ぬこともある。窓がなく衛生管理がしっかりしているところなら、異常に気が付きにくかったかもしれない。

 今の段階では、殺処分して徹底的に消毒するしかない。金武町の養鶏場の3キロ圏内には他の養鶏場がないが、他の養鶏農家もいつも以上に警戒して出入りの際の消毒を徹底する必要がある。一般の人も弱っている鳥や死んでいる鳥を見かけたら直接手で触らず、市町村に連絡してほしい。


佐野文子氏(獣医師) 愛好家も行動制限を

 金武町の養鶏場の3キロ圏内には他の養鶏場はないが、(ウイルスを運ぶ)野鳥をコントロールすることはできないので、県内全域の養鶏場が注意しないといけない。県外では距離が離れた養鶏場でも散発的に発生している。また、養鶏だけでなく、闘鶏やチャーンなどを小規模飼育している愛好家も自主的な行動制限をお願いしたい。

 感染症対策はリスクを減らしていくことが基本となる。(ニュースなどの)映像を見て気になったのは、殺処分など防疫措置をする作業員が畳の部屋で防護服を着ていたこと。畳を完全に消毒することは難しいので、そこからウイルスが広がる危険性がある。床の間で着替えた方がいい。

 豚熱の時は関係者を集めた説明会で消毒や通行ルートが徹底されておらず、かえって感染を広げてしまう恐れがあった。養鶏農家を集める時は、ウイルスを持っている可能性がゼロではないという前提に立ち、対策を講じなければいけない。県には豚熱の時の行動をもう一度振り返り、感染を広げない対策を徹底してほしい。