高病原性鳥インフルエンザとは?なぜ沖縄に?今年は全国で拡大、過去最多ペース


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水鳥(イメージ写真)

 高病原性の鳥インフルエンザウイルスはカモ類などの水鳥が保有し、ロシアなど北方から冬の時期に日本に渡って持ち込まれると考えられている。今回の感染経路は現時点で不明だが、沖縄県外では別の野生動物がウイルスを媒介し、養鶏場に入り込んで感染を広げる可能性も指摘される。今年は欧州などで流行が続き、日本でもシーズンを前に発生や感染拡大が懸念されていた。ウイルスを保有する野鳥は沖縄にも飛来するため、決して「対岸の火事」ではない。

 ウイルスはカモ類の糞便に接触したり、猛禽類が死んだカモ類を食べたりすることで広がる。環境省の担当者は「野鳥は1日あれば海外から飛んでこれる。日本で1カ所発生すれば、沖縄を含め全国で注意が必要になる」と話す。

 動物検疫などを所管する農水省の消費・安全局動物衛生課の石川清康課長によると、鳥インフルエンザの感染は全国で拡大しており、16日午前までに沖縄を含む19道県で37事例、625万羽の感染を確認。過去最多だった20年を上回るペースで推移している。ウイルスは冬場に日本に飛来する渡り鳥のふんや羽に寄生しており、今年は世界的に確認件数が多い。

 石川氏は「ウイルスを1千個程度保有すると発症する。ウイルスを保有する個体が多いことで世界的に発症件数が増加しており、ウイルスにさらされたネズミなどの害獣から感染が広がるケースもある」と指摘した。

(當山幸都、安里洋輔)