金武・鳥インフル 県産鶏 品薄に不安の声 「クリスマス前なのに」 動物園は対策強化


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高病原性鳥インフルエンザウイルスの県内初確認を受け、影響を心配する精肉店の店員ら=16日、那覇市の精肉店

 高病原性鳥インフルエンザの沖縄県内での初確認を受け、消費者や小売店などからは感染が拡大し、県産鶏肉の流通が減ることへの不安、値上げの影響を懸念する声が出ている。卵や鶏肉は、日々の食卓に欠かせない。感染拡大で流通に影響すれば精肉店にとっては物価高の中でさらなる打撃になりかねず、クリスマス前のかき入れ時の鶏の丸焼き店からは不安の声も。動物園は、防疫対策の強化も始めた。

 大学生と中学生の子どもがいる宜野湾市の51歳の男性は「安心感がある」と県内産の鶏肉にこだわってきた。鶏肉や卵は日々の食卓に並ぶ。「昨日も唐揚げを食べた。流通が減ると困る」と懸念する。

 浦添市の43歳の女性は3人の成長期の子どものために、たんぱく質が取れる食材として鶏肉を重宝する。お弁当にも卵焼きを入れる。クリスマス料理にも欠かせず「卵や鶏肉の値上がりは食費に直結する」と値上げへの不安を募らせた。

 那覇市樋川の「のうれんプラザ」で精肉店を営む店の関係者は「殺処分や風評被害の影響が今後心配だ。ただでさえ仕入れ値などコストが上がっている中で、さらに値段が上がると店にとっても痛手だ」と話す。

 鶏丸焼き専門店ブエノチキン浦添の浅野朝子代表は「県の情報では仕入れ先の卸売りは問題ないということだったので、今のところ通常通りの販売だがこの先は分からない」と懸念する。仕入れ先業者は恩納村に鶏舎があり、加工工場は名護にある。クリスマス前の繁忙期で多くの予約を既に受けている。「仕入れがゼロになったらどうするか社内で検討している。お客さんにちゃんと届けられるよう対策を決めておきたい」と話す。

 名護市のネオパークオキナワは、例年渡り鳥が来る12月ごろから対策を強化し、鳥の観覧は入場制限し、野外での給餌は取りやめている。希少種もいるため「感染が広がらないか心配だ。県は抑え込んでほしい」と願う。沖縄こどもの国は、入園ゲートや鳥類飼育施設の入口などで靴底の消毒、鳥類飼育施設では観覧者との間に一定の距離を設けることを決めた。

(金盛文香、普天間伊織、中村万里子)