「窓なし」鶏舎でも防げず 通報までに6日、11月の検査は陰性…高病原性鳥インフル、防止への課題は


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高病原性鳥インフルエンザが確認された農場で、バケツに炭酸ガスを注入して鶏を殺処分するスタッフ=16日、金武町(県提供)

 沖縄県金武町の養鶏農場で確認された高病原性鳥インフルエンザは、今月9日に死ぬ鶏が増える異変があってから、15日の県への通報までに6日を要した。遅れた理由は県などが調査中だが、県の家畜保健衛生所が11月にこの農場で実施した立ち入り検査では陰性で、死骸が多数出た鶏舎は今年建て替えたばかりの、窓がない「ウインドーレス」だった。県内初の事態は、迅速な通報体制や未然防止の課題を映し出している。

 金武町の農場では、野鳥が鶏舎内に入り込まないよう設計された窓なしの「ウインドーレス鶏舎」で採卵鶏2万5千羽、隣接する「開放鶏舎」2カ所でひな1万羽ずつの、計4万5千羽が飼育されていた。

 異変があったのは9日だ。通常でも日々一定数が死ぬが、5~8日に死んだ数が7~27羽だったのに対し、9日は259羽と急増。10日617羽、11~12日1290羽、13日1389羽、14日3974羽と日ごとに死ぬ鶏が増え、農家が15日になって初めて県に通報した。

 死骸は全てウインドーレス鶏舎で見つかった。県によると今年建て替えたばかりで、鳥インフルのシーズンに合わせた11月の立ち入り検査で鶏の陰性が確認されていた。

 ウインドーレスは設計上、ウイルスを持ち込む野鳥が侵入できず対策になるとされるが、ネズミなどウイルスを媒介しうる小動物の侵入を完全に防げるわけではない。県の担当者は「他県でもウインドーレスの発生事例はあり、防ぐのは非常に難しい」と話す。

 高病原性と判明し鶏が殺処分された場合、農家に生じた損失は全額補償される。ただし、飼養衛生管理基準を守らなかったり、早期通報に違反したりすると減額の対象になる。実際に、県外では補償が減額された事例もある。

 県の担当者は「通報が遅かったこともあり農場内で増えたことは事実。異常があった際の早期通報徹底を呼び掛けたい」と説明した。

(當山幸都)