後継者不在の解消へ、沖縄弁護士会と連携協定 事業承継・引き継ぎ支援センター


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連携協定に調印し、書面を手にする県事業承継・引継ぎ支援センターの嶺井政之統括責任者(右)と、沖縄弁護士会の田島啓己会長=21日、那覇市の沖縄弁護士会館

 高齢化や後継者不在に悩む中小企業のサポートを担う「沖縄県事業承継・引継ぎ支援センター」は21日、沖縄弁護士会と事業承継支援に関する連携協定を結んだ。事業承継には、相続など法的な手続きや知識を要する。連携によって支援体制を強化し、事業の引き継ぎの促進を図る。

 支援センターの嶺井政之統括責任者と、弁護士会の田島啓己会長が、那覇市の沖縄弁護士会館で協定書に調印した。嶺井氏は、2010年時点と比べた県内の社長の平均年齢上昇幅が全国で最も高く、高齢化がさらに進むと危惧しているとし「連携によって今後の対策を弁護士会と一緒にできる」と期待を寄せた。

 田島会長は、後継者不在が沖縄の経済にとって深刻な問題になっていると指摘。一定の年齢になったら廃業するという発想の経営者が比較的多いが、事業を継いだほうがメリットがあると強調し「われわれも事業承継に関わっていけたら、県全体の利益増進につながるかと思う」と話した。

 帝国データバンクの調査によると、2022年の県内企業の後継者不在率は67・7%で、全国平均の57・2%と比べて高い水準にある。沖縄では日本復帰時に創業された企業が多く、事業を継ぐのが初めてという企業がほとんどで、21年3月の調査では創業者が現在も経営しているケースが6割近くに上ったという。

(前森智香子)