沖縄県「受理」に落胆と憤り 激戦地の土砂採掘 沖縄戦遺族や住民 説明会求める声も


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沖縄戦戦没者の遺骨が混じる可能性がある土砂の採掘を認めないよう訴える具志堅隆松さん=2022年6月24日、那覇市の県民広場

 沖縄県糸満市米須の土砂採掘を巡り、県が業者からの再届け出を受理したことに遺族や市民団体は落胆し、地元からは説明を求める声も上がる。

 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は「チルダイ(落胆)している。戦没者遺族に遺骨を守れなくてすみません、と謝りたい。玉城デニー知事にどう考えているのか問いたい」と嘆息した。計画の中止を求め、ハンストなどを行ってきた。「ウチナーンチュ同士が対立する構図になっているが、対峙(たいじ)すべきは国。できることをやるしかない。国に計画撤回を求めていく」と話した。

 沖縄市民連絡会の北上田毅さんは、採掘土砂の一時保管場所や土砂運搬の鉱山道路の詳細が「十分に検討されていない。県の対応は拙速すぎる」と疑問視。敷地内のシーガーアブ(ガマ)が崩落する危険性も指摘した。

 県遺族連合会の宮城篤正会長(81)は県の判断に理解を示す一方、「忸怩(じくじ)たる思いだ」と悔しさも吐露した。

 米須に隣接する糸満市山城の男性(73)は「いまさら反対しても」と声を落とす。ただ幼小期は集落の至る所で遺骨を目にしたとし、そうした土地の採掘を「県が承認するのはとんでもない」と憤る。米須の男性(68)は「地元では鉱山業で生活する人もいて賛否を言えない」と複雑だ。法を順守した手続きに理解を示した上で、粉じんや騒音による被害を懸念。昨年、同地区などは業者に対し、鉱山開発で粉じんによる農作物の被害が生じた場合の補償などを求めたが無回答だった。行政や業者から採掘計画の説明もないと言い、住民説明会の開催を求めた。

(中村万里子、比嘉璃子)