不登校と無気力 下條満代(琉球大学教育学部教授)<未来へいっぽにほ>


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下條 満代(琉球大学教育学部教授)

 今回は、不登校と学習における無気力の関係について考えてみたい。

 文部科学省は「令和の日本型教育」の構築を目指し、全ての子どもたちの可能性を引き出す「個別最適な学び」と「協働的な学び」の実現をうたっている。実現すれば、不安や無気力による不登校の減少が期待できる。そのためにはまず、学級担任が学級経営によって、子どもたちがお互い助け合い、支え合うことができる集団に変える必要がある。その上で、個別最適な学習ができる授業を実践することが求められる。

 県内のとある小学校では、教師自らではなく、子どもたちの積極的な活動を学級経営の軸とする取り組みが実践されている。教師は子どもの活動の支援者の役割を担う。

 その学級では、特別支援学級の子どもたちを含めた全員が、学習目標に向かって一人で考えたり、お互いに学び合ったり、時には必要なツールを用いたりしながら、自らの学びをかじ取りし、主体的に学んでいる姿が見られる。さまざまなレベルの問題が準備されていて、同じレベルの問題で学習の定着を図ることや、さらに高度な問題に取り組むこともできる。

 授業終了時には、解いた問題を自ら振り返り、授業でついた力を自分で確認することができる。教師はそれらの活動にコメントすることで、子どもたちの達成感を強化する。子どもたちからは「もっと学びたい!」「チャレンジしたい!」という声が挙がっている。

 子どもたちの活(い)き活(い)きした姿を見ていると、子どもを無気力にしない授業が、不登校を防ぐ要になると確信する。