借家世帯、沖縄市と宜野湾市で増 44歳以下の核家族世帯は持ち家に移行か


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 りゅうぎん総合研究所(伊東和美社長)はこのほど、県内借家世帯の動向に関するリポートを発表した。2015~20年の5年間の変化から借家に住む世帯の動向を分析すると、沖縄市と宜野湾市で借家需要が強まった。家族構成別の調査では、世帯主が44歳以下の核家族世帯では持ち家に移る世帯が多く、借家需要の減退をうかがわせるデータが示された。

 20年の国勢調査に基づき世帯主の年齢別に持ち家と借家の所有関係を見ると、世帯主の年齢が高くなるほど借家に住む割合が小さい。こうした傾向を踏まえ借家に住む世帯主の年齢構成を15年と20年で比較すると、45歳以降で世帯数が増加しており、5年間で借家に住む年齢層が広がった。

 市町村別世帯主の加重平均年齢を横軸、借家率を縦軸に据えて分布の傾向を調べると、本島では世帯主の年齢が低い市町村で借家率が高まる右下がりの分布が見られた。

 借家世帯の構成が大きい県内全11市に絞って5年間の変化を分析すると、10市で世帯主が高年齢化した。5年間の借家世帯数の推移を見ると、那覇、沖縄、宜野湾の3市が上位となり、そのうち増加率が二桁の沖縄市、宜野湾市で需要が強まったとみられる。

 リポートでは、世帯主の年齢や家族構成からみた借家需要についても調べた。借家に住む世帯を(1)夫婦と子ども(2)夫婦のみ、一人親(3)単独―と三つの家族類型に分け、5年間の変化を見ると、(3)が16・3%増と最も増加率が大きく、(2)が11・5%増、(1)が1・4%増と続いた。世帯主の年齢別では(1)は45歳以上で増加傾向にある一方で25~44歳は減少、(2)も45歳以上が増加し30~44歳と19歳以下が減少した。(3)は19歳以下と40~44歳を除き増加している。

 調査した5年間で借家に住む世帯は増えているが、一方で(1)と(2)を合わせた核家族世帯では、世帯主が比較的若い層の減少が見られ、近年の低金利環境を背景に持ち家に移行した可能性が高い。

 及川洋平研究員は「借家需要を定量化することで、これまで肌感覚だった市町村ごとの需要を可視化できた」と話した。(小波津智也)