舞い上がれ、うちなーパイロット 琉球大卒2人がJTA入社 琉銀の融資制度を活用、2000万円超の費用の課題克服


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パイロット志望学生支援制度を利用し入社した2人=5日、那覇市のJTA本社

 日本トランスオーシャン航空(JTA、野口望社長)と琉球銀行(川上康頭取)が連携して実施している、県内学生向けの「パイロット志望学生支援制度」を利用した2人の運航乗務員訓練生が5日、JTAに入社した。同制度での入社は初めてとなる。

 一般的にパイロットになるまでに、専門学校の学費や訓練費用など約2千万円がかかる。費用が高額なことから、パイロットになることを断念する学生も多い。支援制度は、操縦士の養成費用として琉球銀行が約2200万円の借入枠を設定して学生に必要額を融資する。学生はJTAに入社した後に返済を始め、入社後15年が経過すると、その時点の残金、最大で約1800万円をJTAが代わりに返済する。

 入社したのは岸本周さん(26)と新垣俊さん(25)。岸本さんは琉球大工学部を、新垣さんは琉球大法文学部を卒業した後、ともに熊本県の崇城大学工学部宇宙航空システム工学科操縦学専攻研究生課程を修了し、JTAに入社した。

 幼い頃に空から見た沖縄の美しさに感銘を受け、パイロットを志したという岸本さんは「沖縄に貢献できるように全力で訓練に臨み、早く一人前になりたい」と抱負を語った。大きな乗り物を運転するという夢を持っていた新垣さんは「『うちなーの翼』としてパイロット業務を担いたい」と意気込んだ。

 運航部の正岡良和副部長は、パイロットの数が航空需要に追い付いていないと話し「地元の航空会社として、県内学生に空のインフラを担ってほしい」と期待を込めた。

 2人は今後、地上勤務や操縦士昇格訓練などを経て、早ければ2024の7月頃に副操縦士としての勤務に就く。
 (與那覇智早)