世界と教室をつなぎ英語学習 沖縄市のハローワールドがシステム開発 県内外33校の15000人利用 音声認識で会話練習も


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オンラインで外国の同世代と交流する生徒たち=2022年12月、那覇市立真和志中学校

 沖縄市のスタートアップ(新興企業)HelloWorld(ハローワールド、野中光、冨田啓輔共同最高経営責任者)が開発・運営する、音声認識技術を用いた英語教育システム「World Classroom」(ワールドクラスルーム)が県内外の中学高校33校で採用されている。英語で話すスピーキングの練習機能や、教室にいながら世界17カ国の同世代との国際交流ができる機能を備える。導入校からは「もっと世界に発信したいという生徒の声を聞くことができた」と好評だ。

 ワールドクラスルームは沖縄発の、テクノロジーを用いて教育を支援する仕組みやサービス「エドテック」ツールとして注目を集めそうだ。経済産業省のエドテック導入補助金の認定ツールにも採択されている。

 開発のきっかけは「新型コロナ対策で、授業で会話などのペアワークができなくなった」という学校現場の悩みを聞いたことだった。国のギガスクール構想で生徒1人に1台タブレットが支給されていることに注目し、「オンラインなら世界とつながることができる」と2020年にプロトタイプとなる国際交流授業を名護市の中学校で実施。教師の要望を聞き、国際交流の機能だけでなく音声認識技術を用いたスピーキング練習やプレゼンテーション練習、それらを自動で数値化、集計する機能なども加え、21年にシステムが完成。教師たちの間で評判が広がり現在県内外33校の1万5千人が利用している。

 昨年12月末に、那覇市立真和志中学校で行われた国際交流授業。生徒たちは画面越しに台湾や韓国の同世代と英語で互いの住む地域の紹介をしていた。生徒の1人は「最初は通じにくかったけど伝わったときは感動した」と興奮気味に話した。

Hello Worldの野中光共同最高経営責任者(中央)とスタッフたち

 共同最高経営責任者の野中氏(36)は「英語が得意な子はできることとできないことに気付き、学習意欲が増す。英語が苦手な子は外国人と交流できたという自信がつく」と話す。

 目指すのは「世界と当たり前につながり、1カ国ずつ友達がいること」だ。今後は海外の学校へのワールドクラスルーム導入や海外交流機能を強化する。野中氏は「多様性があれば、新しいものが生まれる。そして平和にもつながっていく」と未来を描く。

(玉城江梨子)