「沖縄県民の足」ゆいレール3両化、利便性向上への課題は 他交通と乗り換えやピーク時の「乗り残し」解消 2030年の需要予測1日7.2万人


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船から陸揚げされたゆいレール3両編成の新造車両。左端は中間車=9日午後2時59分(ジャン松元撮影)

 沖縄都市モノレール(ゆいレール)の3両化に向けた新車両が9日、那覇港に到着した。利用者の増加に伴う混雑解消のため、2019年度に3両化が計画されてから3年。今月中には試運転が始まり、23年度中に運行が開始される。さらなる利便性向上には他の公共交通とのスムーズな乗り換えなど課題もある。

 ゆいレールは都心部の慢性的な交通渋滞解消などを目的に03年、那覇空港駅―首里駅で開通。19年には浦添市のてだこ浦西駅まで区間を延長した。

 開通初年度の03年度は749万7788人だった利用者は、コロナ前の19年度には1975万6806人まで増えた。

 利用者増加の要因は、ゆいレールが「県民の足」として定着したことに加え、開業時には約500万人だった入域観光客が19年には1千万人を突破するなど、観光客の増加も大きい。

 特に朝夕の通勤・通学時の混雑はひどく、モノ社によるとピーク時の18年11月には平日午前8時で乗車率156%を記録。駅で乗車待ちの客を乗せられない「乗り残し」もたびたび発生する事態となるなど、混雑の解消が喫緊の課題となっていた。

 モノ社は運行間隔を短縮するなどして対策をとってきたが、抜本的な解決には3両化で輸送人員を増やすことが必要とされ、19年度から計画が動き出した。

 新型コロナの影響で20、21年度の利用者は減少したものの、モノ社、県都市計画・モノレール課ともに「コロナ後を見据え、輸送人員は増やす必要がある」とする。

 観光客の回復、増加や沖縄自動車道とつながる幸地インターチェンジの整備など沿線の開発で、県は30年の需要予測を1日当たり7万2千人と見込む。

 今後課題となるのは、中北部との連結点となるてだこ浦西駅への路線バスの乗り入れやパーク&ライド駐車場の利用促進だ。県は「公共施設としての投資効果を発揮しなければいけない」としている。
 (玉城江梨子)