鳥インフル「移動制限区域」解除に養鶏関係者は安堵 沖縄・金武 全国的流行に警戒緩めず


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沖縄県庁

 沖縄県金武町の養鶏場で昨年12月に高病原性鳥インフルエンザが発生したことに伴い、農場から半径3キロ以内に設定された「移動制限区域」が12日に解除された。養鶏関係者には安堵(あんど)感が広がった。一方で、全国的に高病原性鳥インフルエンザが流行しており、十分な防疫措置をしていても感染する可能性があることに不安の声も上がった。

 県養鶏農業協同組合の諸見里元組合長は「とても安心しているが、鳥インフルは目に見えないので、防ぐ努力はしても今後100%安心することはできない」と語った。「絶対に出さないように防疫をしっかりした上で、何か異変があった時には早めの報告、対応が重要だ」と農家に呼び掛けた。

 今季は全国的に高病原性鳥インフルエンザの発生が多発し、養鶏場などでの感染は過去最悪となる異例のペースで広がる。殺処分対象数は合計1091万羽と、1シーズンでは初めて1千万羽を超えた。養鶏農家は対策に神経をとがらせている。金武町の発生農場から半径10キロ以内にあるブロイラー農家の50代男性は「自分のところでも異常が出ないかと、年末年始は養鶏場の扉を開けるたびにひやひやした。まだ全国的に過去最悪のペースで発生し続けているので、対策に気を引き締めたい」と語った。

 金武町のキャンプ場などを有する自然体験施設「ネイチャーみらい館」の職員新田裕哉さん(31)は「近隣の施設だったので、風評被害が懸念されたが、(移動制限区域の解除によって)金武町の観光への影響も含め、マイナスのイメージがなくなるのではないか」と話した。

 県は、農家に対して、飼養衛生管理基準の徹底や日々の観察、異常が発生した場合の早期通報を呼び掛けている。
 (與那覇智早まとめ)