【糸満】糸満市のシャボン玉石けんくくる糸満で8日に開かれた「二十歳を祝う式典」に、専門学生の川村夏菜(かな)さん(20)が、曽祖母が祖母の伊敷広子さん(65)のために買い、母・千秋さん(42)も着た振り袖姿で参加した。夏菜さんは「母と祖母の愛情が伝わった。曽祖母もきっと喜んでいると思う」と語った。
夏菜さんの振り袖は黄色を基調とし、松や鶴など色鮮やかな柄が目を引く。祖母の振り袖に抵抗があった夏菜さん。「他の振り袖も見たい」と試着したものの、好みの柄はなかった。昨年8月、20歳の誕生日に祖母の振り袖を見た時、古典柄に魅せられた。
母・千秋さんも自身の成人式で他にしっくり来る着物がなく、広子さんの振り袖を着用した。「美容や服飾関係の友人から『かっこいい』と褒められて、この着物を着てよかった」と振り返る。祖母の広子さんは「夏菜が着てくれてうれしい。いいものを買ってくれた母に感謝したい」と話した。
広子さんは5人きょうだいの末っ子で一人娘。振り袖は45年前、夏菜さんの曾祖母の故・仲尾次テル子さんが20歳の広子さんに内緒で購入した。
国際通りの着物店で振り袖、帯、草履など一式そろって約30万円だったという。
成人式の前、テル子さんは一室に振り袖などを丁寧に並べ、広子さんに贈った。テル子さんは「いっぺー上等。他の着物よりきれい」と満足げだったという。母・千秋さん(42)は「おばあちゃんの愛情の深さをとても感じた。娘たちにもつなげていけたら」と語った。(比嘉璃子)