2023年の沖縄経済「緩やかに回復」ウィズコロナで活発化 りゅうぎん総研


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 りゅうぎん総合研究所(伊東和美社長)は10日、沖縄県経済の2022年の回顧と23年の展望に関する調査報告書を発表した。23年は新型コロナウイルスと共存する「ウィズコロナ」で社会経済活動が活発化し、観光など個人サービスで回復の動きが強まり、建設関連でも民間投資の再開に向けた動きが強まることから、県経済は「緩やかな回復基調」と判断した。

 一方で4月に電気料金の値上げが予想されており、第2四半期は回復の動きが一時的に鈍化すると想定した。

 個人消費では、物価やエネルギーの高騰が懸念されるものの外出機会が増えて消費マインドが高まり、持ち直しの動きが強まるとみる。百貨店・スーパー売上高は衣料品や身の回り品などの需要回復が期待され、前年を上回る見込み。新車販売台数は供給制約が残り、家電大型専門店卸売額も需要の一服感から共に伸び悩むとみている。

 建設関連は、公共工事では首里城復元や琉球大医学部・琉大病院の移設、道路や港湾などの整備が進められ、底堅く推移するとみる。観光回復に伴い民間でも投資再開の動きが強まることが期待される。足元では、特に分譲マンションの増加が顕著となっている。ただ建設資材価格が高止まりしており、今後の動向次第では、投資意欲が冷え込む要因になり得ると予想する。

 観光関連は人流が戻り社会活動がさらに活発化し、本格的に再開するとみている。入域観光客では、国内客は全国旅行支援が後押しし、コロナ流行前の19年を上回ると予想した。訪日外国人客の増加も見込むものの、19年水準に届くには時間を要するとしている。

 一方で、人材不足で供給が制約される可能性を指摘。待遇改善や業務の魅力を伝える施策を官民で連携するなどの態勢整備が急務とした。

 22年の県経済の回顧では、3月以降の行動制限がない状況が続き、後半以降に消費関連や観光関連の回復が顕著となり、「持ち直しの動きが強まる」と判断した。

(小波津智也)