【識者談話】「都合の良い解釈」経緯を説明すべき 小野寺元防衛相が辺野古関連財団の報酬未報告 上脇博之氏(神戸学院大学法学部教授)


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上脇 博之氏

 国会議員資産公開法は「政治倫理の確立のため」と位置づけられた法律だ。罰則はなくても、主権在民の原則にのっとり、政治家の資質、倫理観を国民が見定めるためのものであり、違反は政治倫理上許されない。

 小野寺氏は「報酬」の解釈で違法性を否定しているが、金銭の授受があったのは事実だ。「都合のいい解釈」といわれても仕方がない。

 そもそもなぜ評議員の就任を報告していなかったのか。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題は、工事計画の妥当性などを巡り批判も浴びてきた。賛否ある工事の関連業者が設立に関わった法人との関係が表沙汰になるのを避けたかったと捉えられかねない対応だ。小野寺氏は防衛相経験者で、現在も防衛政策で自民党内に影響力を行使できる立場にいる。

 職務権限に関わる立場にある政治家への金銭授受は贈収賄になるが、業者側からすると、自身の利益につながる政策に関わる政治家に金銭を贈れば、合法的に一定の目的を達成することができる。金銭の多寡の問題ではなく、主権者である国民に疑義をもたれないために法が整備されている。議員の立場にある以上、疑わしい民間との関係は厳に慎むべきで、経緯をきちんと説明すべきだ。
 (憲法学)