沖縄・中部地区の23年の経済動向は? コザ信金の前屋氏が分析


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前屋誠専務理事(コザ信用金庫)

 2023年を迎えコロナ禍から本格的な回復を目指す沖縄経済。本島中部地区を中心に継続的に企業動向を観測しているコザ信用金庫の前屋誠専務理事に、今後の中部地区経済の動向について分析を寄稿してもらった。

 沖縄でもコロナ感染者が再び増加している。一方で各地の市町村の新年会が3年ぶりに開催されるなど、コロナウイルスと向き合いつつ日常生活、経済活動を回していく「ウィズコロナ」社会が始まっている。経済活動への影響の面ではコロナ禍もさることながら、物価高や人手不足の影響が大きいほか、今年は日銀総裁が交代し、金融政策の変更で金利が上昇する可能性もある。先行きの不透明感はなかなか払拭されないが、今年の景気はどうなるだろうか。コザ信用金庫が本島中部を中心とする企業や事業主に毎年実施しているアンケート調査をもとに展望したい。

 足元の景気について「良い」と「やや良い」と回答した割合を見る。コロナ禍に入って以降、2年前、1年前、今回(2022年12月調査)を比較すると、9%(2年前)22%(1年前)28%(今回)で、コロナ前(19年12月調査)の25%を上回った。他方で景気が「悪い」と「やや悪い」の合計は今回29%と2年前(62%)に比べて半減したが、コロナ前(19%)に比べるとなお10ポイント上回っている。現在の景気はいまだコロナ前には戻っていないと言えるだろう。

 先行き景気が上向く時期については、今回調査では「既に上向いている」に「6カ月以内」および「1年後」を加えた合計は61%に上り、過半を超える事業者が今年中の景気回復を見込んでいる。

 一方で、景気の上向きは「2年以上先」および「見通しなし」の合計も39%に上る。この割合はコロナ前の37%とほとんど変わらない。業種毎にコロナ前との回答状況を比べると、サービス業が27%から33%、小売業が48%から40%、建設が25%から48%で、特に建設業では先行き不透明感が強まっているようだ。

 全体的には景気回復期待が高まっているが、コロナ禍前から業況が芳しくない企業や事業主は一定割合存在する。これらの方々が景気回復の動きから取り残されないようにすることが大事だ。

 今年は企業が借り入れた「コロナ融資」について、3年間の実質無利息期間が終了し、利息の支払いが始まるほか、元金の返済も本格化する。金融機関としても企業や事業主が原材料高や人手不足を克服しつつ、借り入れの円滑な返済を行い「ウィズコロナ」の下で持続可能な事業経営ができるよう、引き続き「伴走支援」が求められる。


 まえや・まこと 1959年3月生まれ、東京都出身。早稲田大卒。82年に日本銀行に入行し、調査部門を長く経験。2015年にコザ信用金庫入庫。理事総合企画部長を経て、19年6月から専務理事。