沖縄で「黒人街」と呼ばれブルース響いた街が舞台 映画「コザママ♪~」 見どころと狙いは?


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映画の制作背景や街おこしについて語るコザ十字路通り会の森寛和会長=16日、沖縄市照屋

 【沖縄】沖縄市の銀天街を舞台にした映画「コザママ♪~うたって!コザのママさん!!~」の特別上映会が、地元銀天街で始まった。20年前に人気を集めた女子高生バンド「銀天ガールズ」が、街おこしイベントのためにバンドを復活させる物語だ。作品のゼネラルプロデューサーを務め、銀天街の活性化に関わってきたコザ十字路通り会の森寛和会長に、映画の見どころと狙いを聞いた。 (聞き手・石井恵理菜)

 ―制作背景は。

 「約2年前、銀天街にあるカフェで中川陽介監督と雑談したことがきっかけだ。中川監督から映画で街づくりをしたいという意向を聞いた。銀天街がある照屋地区はひとり親家庭が多く、通りの店舗の中には子どもたちにスープやお菓子を提供する所がある。監督はその取り組みに興味を示したようだ」

 「私自身、子どもの貧困をどうにかしたいという思いがあった。監督に地元の子どもたちを出演させてほしいと要望した。映画に出演してもらうことで、誇らしく思ってもらえたらいい。街を映像に残すことも価値になる。銀天街を知ってもらうチャンスだと考え、通り会として2022年度沖縄文化芸術の創造発信支援事業に応募し、採択された」

 ―映画の見どころは。

 「音楽にこだわった映画だ。戦後、照屋には『黒人街』と呼ばれる地域があった。コザはロックのイメージが強いが、黒人街の照屋はブルースがあふれていた。映画ではブルースから派生したR&B(リズム・アンド・ブルース)を主人公ら『銀天ママさんズ』が歌う。ジョニー宜野湾さんが、コザ騒動をモチーフにした曲を歌うシーンも見どころだ。出演者のせりふ回しも“コザンチュ”を感じるもので、見ていて楽しめる」

「コザママ♪~うたって!コザのママさん!!~」のワンシーン。ロケ地のほとんどに銀天街が使われた(コザ十字路通り会提供)

 ―街づくりの一環としても制作された。

 「銀天街が昔のように商業地として発展することは厳しいはずだが、コミュニティーとして街をどう使っていけるか考えていきたい。映画はその一環だ。銀天街には子どもを大事にする土壌がある。どんどん銀天街で遊んでもらい、人が集まる場所にしたい」

 「映画を活用したイベントを仕掛けていく。イベントの中で上映会をし、地元の人が映画館とは違う雰囲気で映画を楽しめるようにしたい。銀天街は昔からの古い建物ばかりだが、ここでしか見られない風景がある。近年はコスプレイヤーが銀天街を訪れている。多くの人に映画を見てもらい、街の魅力に気付いてほしい」

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 銀天街で特別上映会を開催している。21、28日は午後3時と午後6時の2回。29日は午後6時のみ。会場は銀天街ゆらてぃく広場向かいの「旧コザ青春劇場」。入場無料。問い合わせはコザ十字路通り会、電話098(923)1404。